入居までの流れ

大きな病院や地域の中核を担う病院では、急性期の患者への対応が重要とのことで、患者様、ご家族様にとっては早期の退院となるケースがあります。
また治療の場であることで、ターミナル患者など疼痛コントロールだけを目的にした入院は難しく在宅復帰またはかかりつけ医への対応が求められております。
輪をかけてコロナ禍ではコロナウイルス感染患者治療のベッド数確保のため、入院期間がますます短縮される場合もあります。

突然の在宅での介護にすぐ対応できるご家庭は、ほとんど無いかもしれません。
ご家族は状態が悪いままの患者様(ご本人)を家で介護することは不可能に近い状態です。それでは主たる介護者が心身共に疲れ果ててしまいます。
会社勤めをやめて介護にあたらざるを得ません。そして家族一人のみでは介護はできません。
場合によっては、家族が共倒れになってしまいます。
そういった、苦痛・苦労の声を聴き受け手助けとなり、そしてご本人・ご家族様のために有料老人ホーム彩べえがあります。

彩べえではここで生活しながら医療・介護が受けられます。

在宅に戻られた場合に様々な苦労があります。
冬の寒い中で、病院への通院は体に応えます。車の乗降り・外来での待ち時間など、体に負担を与える事ばかりです。病院受診から帰ってくると疲労困憊でぐったりしてしまいます。
元気でなければ病院にはいけません。まして癌末期の患者様などは体力を消耗するばかりです。
どのようにして生活の場で医療を受けられるか末期癌の方を例に紹介します。

入居相談時の面談で現在の主治医と、今後入居した場合の普段の健康管理をしてくださるかかりつけ医の違いを紹介していきます。

大きな病院や地域の中核を担う病院での主治医は勤務医であるため、土日祝日や夜間早朝の対応は難しいです。
急変時には救急外来へ受診しなくてはならず、直接主治医に看てもらえない場合もありえます。
在宅への往診や介護施設に往診に来てくれることも難しいところです。
しかし、かかりつけ医は4週間(2週間)に一回往診に来てくださる他、それ以外でも状態が悪い時には往診で駆けつけてくれる医師もいます。時間帯にこだわりません。 ご家族(ご本人)には普段はかかりつけ医に診てもらい、3か月に一度専門医による定期受診と併用してお二人の先生に守られながら彩べえで生活していく事を説明します。
先生方お二人に診ていただける事により、ご家族は大変喜ばれ安心します。

これを叶えるための入居準備が始まります。
まずは、今後のかかりつけ医になっていただく医師へ相談し、新規入居者様の状況を説明して新しく主治医になっていただけるか許可を得ます。
その後、医療連携室・相談室と連携し、診療情報提供書の手配をします。
新しく主治医になられた医師が状態把握をしやすいよう、CD‐ROMに手術サマリー、画像データ、血液検査データを入れていただきます。
入居前までに新しく主治医になられる医師に渡して把握していただきます。入居した時点で責任は新主治医にあります。そのため退院時には新主治医の医院に伺い診察を受けます。診察と言っても顔合わせです。

入居者様・ご家族共にこれからお世話になる先生との面談が出来て安心されます。

入居後に病院からの退院サマリーを確認し、訪問看護のスタートとなります。
まずは初回アセスメントをします。バイタル測定後、全身チェックして褥瘡や皮下出血などないか、身体拘束された痕がないかなど確認を行います。
この情報をもとに看護師による看護問題を上げ看護目標を設定してどのような看護をしていくか計画立案します。
速やかに医師に報告し訪問看護指示書を依頼します。「私どもはこのように問題点を挙げて具体的にこのような看護をしていきたいと思いますので指示書をいただけますか」と説明し、新しい主治医より訪問看護指示書が発行されます。
ご家族には発行された訪問看護指示書をもとに作成した訪問看護計画書を説明し、同意を得ます。
こうして彩べえで生活をしながら医療を受けられる生活が始まります。

主治医への報告は基本的に往診前日に行います。この報告をもとに訪問看護ステーションへの指示を考えてきてくださいます。往診日以外にも随時状況変化時は電話やFAXにより報告します。
画像や資料が必要な場合など急ぐ場合はメールを送ります。
主治医で出来る範囲の検査や薬処方、処置が施されます。点滴指示なども対応可能で訪問看護師に指示が出され実施できます。
病院では病棟看護師が直接主治医に報告を行い診察してもらえますが、訪問看護でも遠隔で同じような対応ができます。
これが出来るのが彩べえの最大のメリットです。わざわざ受診しなくてもいいのです。具合の悪い人を動かさずに済みます。
そのほか、専門医による定期受診では、日ごろの健康状況を記載した「受診状況報告書」を作成して受診対応するご家族や職員に渡して、専門医に診てもらいます。現主治医と専門医双方に報告して橋渡し役をしていきます。
日ごろから医師同士が間接的にやりとりしているため何かあった時には緊急受診時は現主治医から文書と電話により専門医へと連絡し待ち時間なく予約して対応していただけます。
上記説明が、ご家族に彩べえを選んで入居していただく理由です。

次に彩べえの看取りの説明をします。いよいよ状態が悪くなった時に主治医によるご家族への病状説明があります。看護師が同席して説明を一緒に聞きます。
ほとんどのご家族は、最期の死に目に会いたいと希望しています。食べられなくなってから心身の変化を密に観察して、ご家族が最期の死に目に会わせられるように観察項目を情報共有し、チームとして一致団結することで途切れないように看ていきます。
看護師チームだけでなく彩べえでは介護員(特に夜勤者)が看護師と同じように看てくれます。呼吸回数がどれくらいになったら、血圧がどれくらいになったらオンコールしてもらえるように入居者様ごとに決めていきます。

看護師はご家族による最高の看取りが出来るように演出します。少しでも意識があるうちにご家族にご飯を食べさせる手伝いをしてもらったり、お顔を拭いてもらったり手足を洗ってもらったりして、親御様に何かしてあげられたと満足してもらえるようにします。
また入居者様もご家族にしてもらうことで嬉しそうにしてくれます。ご家族が帰られた後にずっとその場面の話をしてくれます。これらのプロセスを経てご家族が最期看取られた時に感謝のお言葉をいただき看護師として成長の糧になります。
努力してよかったと思えます。

良い看取りを実践するには、死亡確認するための医師との連携も大事になります。土曜の午前には、状態が良くても悪くても状態を報告していきます。主治医は報告文書からあとどれくらいか推測して主治医も土日の過ごし方を考えてくれます。主治医は土日の居場所を教えて下さいます。
会議出席時なども連絡先と連絡方法を教えていただきます。わざわざ駆けつけてくれる事がほとんどです。ご家族にとっては大変ありがたいことと思います。大切にされている気持ちが伝わります。
医師と看護師との連携は生命線と言えます。これだけ手厚いサービスを提供しているのですから、彩べえが他とは違う施設である理由のひとつです。

「終わりよければすべて良し」ではないですが、入居者様がどんな生き方をしても最期に大切にされて「最高の人生だった」と思ってもらうように、また、ご家族が彩べえに入居させてよかったと思ってもらえるように丁寧に一つずつこなしていくことが彩べえのいい所です。
ご家族の口からケアマネージャー、医療連携室や相談室に伝わりお客様を紹介してくれる事につながることと思います。

介護員の観察力と看護師の連携

食事介助編
入浴介助や食事介助、オムツ交換などに日常生活のお世話をするのは主に介護員です。
食事中にむせたり、食事が上手く摂れなかった場合、介護員は異常を察知しすぐに看護師に報告してくれます。同時に食事介護をして観察していきます。
食事姿勢に問題はないか、歯の具合はどうか、口の中に痛んだ所はないか、咀嚼はできているか、食事形態を変えることで解決できないかなどその場で話し合います。 食べることは命と直結します。高齢になると歯ぐきも痩せてしまい義歯が合わなくなってきます。介護員は会話中に口元を気にして話す入居者様の様子や、義歯洗浄時に義歯内に食べかすが付いている事に気づき義歯が合わないことを発見します。
いつまでも食べられるように、訪問歯科診療を依頼して義歯を調整してもらうことも可能です。ここまでつなげてくれるのは日頃の観察力のたまものです。
入浴編
入浴の場面は全身の観察のチャンスになります。浴室から「仙骨部に発赤があります」「右足が左足に比べて腫れているような感じ」と介護員からコールがあります。看護師は浴室にかけつけて確認します。
一番身近で触れ合っている介護員は変化を見逃しません。異常を早期に発見します。

看取りの方の入浴
入浴介助は介護保険で「身体介護2」に位置付けられて入浴サービスが行われます。
決められた曜日と時間に行われますが、この方にとって今日の入浴が最期になるかもしれないと思う時があります。体調が良い時はめったにありません。絶好の入浴日だとおもったら介護保険の時間をできる限り調整し、今日が最期と思って急遽入浴していただくこともあります。体力を消耗させないように出来るだけ短時間にこなさなければなりません。介護員と看護師と段取りを組んで速やかに負担なく保温をしっかりしながら4人で介助することもあります。
最期の入浴と思うと介助中に泣けてくることもあります。笑い話ですが、「最期の入浴」が4回あった入居者様もいました。入浴が大好きな入居者様へ、「気持ちよくしてあげたい。きれいにしてあげたい」と思う気持ちを大事にしています。
食べることを大事にする
人間食べることは一番の楽しみです。最期まで口から食べられるように、料理長はじめ厨房職員は23名の入居者様に対して、粗キザミ食、極キザミ食、ペースト食を作ってくれます。食事量もその方に合わせて調整しています。
季節の行事に合わせて山菜やハタハタ、キリタンポなど郷土料理も作ってくれます。
もうすぐ亡りそうな方がいらっしゃいました。大好きな「ハタハタ鍋」を最期に食べたいとリクエストされ、そのご希望を叶えることができ、満足したお顔でお亡くなりになられました。美味しく食べている様子をご家族が見て、とても喜ばれておりました。
食べることを全力で支えてくれる職員のおかげで、より家庭的な料理に近づきます。

看護師、介護職員、有料老人ホーム職員が力を合わせて、ここで出会ったことを大切にし、「最高の人生だった」と思ってもらえるように努力し、看取り介護に取り組んでいます。